化粧品のための皮膚刺激評価方法をご存知でしょうか。従来の方法は、動物のテストによって実行されてきました。特にドレイズ試験では、生きているウサギの目に化粧品を入れ、出血などを見たり、皮膚に化粧品をつけ、腫れるのを見たりする方法です。このような方法により、化粧品の皮膚刺激性/腐食性/感作性(アレルギー)の評価をしてきました。
EUにおいては、動物保護の観点から、この種の動物試験を使用した新たな成分の配合は禁止されています。日本でも、いくつかの会社がこれに従っています。
現在は動物試験に代わるものが提案され、生細胞を用いたセルベースアッセイである三次元表皮モデルが公式に承認されています。
残念ながら、測定に2-4週間もかかる上に、手法に問題があり、またどの方法も、化粧品の皮膚刺激性/腐食性/感作性のすべて測定できるというわけではありません。
一方、表皮角化細胞(表皮の一番下の基底膜)、特にそのミトコンドリアは刺激に応じて細胞内外に危険信号を放出し、皮膚の最前線センサーシステムとして機能しています。
このため、各種化粧品の皮膚刺激を、ヒトの角化細胞内のミトコンドリア膜電位変化として捉え、以前ご紹介した独自技術である高精度表面プラズモン共鳴-三次元培養法(HP-SPR-3D)を用い測定し、各種皮膚刺激に対する共通手法開発に成功しました。
1時間以内で、ヒトに作用する濃度での皮膚刺激性/腐食性/感作性の強度、その作用の迅速定量評価を可能にしました。
Johzuka, J. and Ona, T.
Development of universal method for skin stimulus determination by epidermal keratinocyte mitochondria as a forefront of sensor system for homeostasis maintenance.
Alternatives to Animal Testing and Experimentation, Vol. 23 (2): 47-52 (2018).